本屋の神様

おすすめの本と本屋を紹介するブログです。

りかさん

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朝の光の清らかさ、春の気配、や、梅雨時の鬱蒼とした雰囲気。
繊細な内面のゆらぎや色合いの変化。
梨木 香歩さんのお話は、そんな目に見えない事象を丁寧に映し出すのが上手いな、と思います。
春の気配がようやく見え隠れするこの時期、読みたくなるのが、
りかさん (新潮文庫)
リカちゃん人形が欲しい、とおねだりしたら、お祖母ちゃんからプレゼントされたのは市松人形の「りかさん」。
主人公のようこちゃんは、思っていたのとちがう贈り物に、ひとときは落胆するのですが…。
不思議な力を持った「りかさん」と過ごしながら、日常の中に隠れている不思議な出来事を経験していくお話です。

お祖母ちゃんからもらった「りかさん」には説明書がついています。それを見ながら「りかさん」のお世話をするシーンは、女の子だったら、ちょっと憧れるのではないでしょうか。お人形専用の小さな器に、毎日一口ずつ、家族と同じ食事をのせてお世話する。お話の中では、お母さんもワクワクしていました。
私も、雛人形の小さな器に、おひな祭りのチラシ寿司とはまぐりのお澄まし汁をのせて差し上げたことがあります。母と一緒にひな壇のお膳にのせるとき、何か愛おしいような気持ちになったのを覚えています。おままごとのような儀式めいた遊びは、気持ちをどきどきさせてくれます。

其処ここに何かの精がいたり、大切にしているぬいぐるみに心があるんじゃないかな、なんて、ほのかに思っている気持ち。
梨木さんはそんな目に見えないことを大事に掬い上げてくれる気がします。

おひな祭りの季節、この本を読みたくなってしまうのは、そんな気持ちが呼び起こされるからかもしれません。

 

(ちなみに、この本は「からくりからくさ」と連作になっていて、続けて読むとより奥深い物語の世界を味わえます。)

本屋のおたく

本屋のおたく、という言葉を言われたことがあります。

本はもちろん好きです。通勤の行きと帰り(計1時間くらい)+寝る前(1時間くらい)で文庫本1冊は軽く読了するくらいは好きです。

まだ会社勤めをしていた頃、終業後は必ず本屋によって帰っていて、

京都烏丸通り三条にある大垣書店→四条にある大垣書店→(地下鉄四条駅内にあるくまざわ書店)→京都駅の地下街にあるくまざわ書店→京都駅の地下1Fにある三省堂書店、というコースが定番。

毎日通ってたら、本の入れ替えまでわかるようになりました。

普通のことだと思って、ごくフツーに話していたら、

「本というより本屋のおたく」

と言われて衝撃的でした。

お洋服のウィンドウショッピングや、帰りに一杯、が癒しになる人もいます。ですが、私にとっての聖域・癒しの場は本屋さんでした。

悩みがあるときなど、なんど本屋さんに助けられたでしょう。書架を巡回していれば悩みに応えてくれる本と目が合います。本屋の神様っているかも、とよく思います。

これから記す、本と本屋のアレコレを、本屋の神様にささげたいと思います。