本屋の神様

おすすめの本と本屋を紹介するブログです。

ブックサーフィン

ネットサーフィン、という言葉があります。ネットにある情報の海で、あたかもサーフィンをするよう、興味を惹かれる情報の波に次々と乗り移っていくことを指します。

 

同じように、ブックサーフィンをよくします。

1冊読んだ本を後書きまで読むと、関連する書籍がのっていたり、著者に近しい作家さんの情報があったりします。本を読み終えた時点では、なんとなく読み流しているのですが、本屋さんへ行った時、ふとその情報が甦ったりします。

そんな感じでついつい手にとり、気がつけば、1冊の本から広がる網の目のように、関連する本を読んでいます。

これって、ネットサーフィンならぬ、リアルでのブックサーフィンだな、と思います。

 

ポイントは、ブックサーフィンで気になった本は、自分にとって「当たり」が多いこと。共感する本や作家さんから広がる網の上なので、良い収穫があるのは当然なのかもしれません。

 

森見 登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」のなかで、下鴨糺の森で毎年行われる古本市を舞台にしたお話があります。そこで、古本市の神が出てくるのですが、まさにその神の台詞の通り。深く同意します。

…『父上が昔、僕に言ったよ。こうして1冊の本を引き上げると、古本市がまるで大きな城のように宙に浮かぶだろうと。本はみんなつながっている』(夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)から引用)

 

夜は短し歩けよ乙女」は、京都百万遍を舞台に、「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」が心を射止めるために回りくどい悪戦苦闘を繰り広げる、かっこわるさと面白さと甘酸っぱさがないまぜになった素敵なお話です。くだらない状況にも不必要に教養がぶちこまれていて、いかにも京大生っぽい。青春時代のかっこわるさと楽しさを思い出して、暖かい気持ちになりますよ。