本屋の神様

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騎士団長殺し

本筋とは違うところですが・・・。

村上春樹さんは、本当にものを作り出す人なんだな、と改めて実感しました。

作中の主人公が肖像画家なので、絵を描く過程を表現しているシーンが多く出てきます。

絵画作品が小説舞台の中で重要な役割を担うわけですが、それは本作を読んでもらうとして・・・。

画家が、作品を完成に導くまでの内面の動きが詳細に描かれていて、その内容が実にリアル。小説と絵画、フィールドが違うといえど、このレベルで創作活動をしている人にとっては実体験なんだろうな、という説得力がありました。

 

ストーリー展開・雰囲気は、いつもの春樹さんカラーで、ある意味期待を裏切らなかったです。

創作活動をしたことがある人にとっては、感じたことのある制作活動の葛藤も描かれていて、ストーリーとは別の部分で共感できる本かな、と思います。

 

春樹さん作品に出てくる主人公は、いつもどこか物憂い、テンションが低い感じで、ちょっと元気が出ないな、なんだかアンニュイだな、という気分の時にぴったりな気がします。

 

 

  

 

それにしても、新潮文庫さんの装丁室はいつもいい仕事をしますね。

個人的には、ハードカバーより、こちらの文庫版のデザインの方が好きです。